低身長さんには、小物を活用することをオススメしています。平均身長が高くなっている昨今、小さいサイズの服は市場的にあまり需要がありません。そのため、低身長さんの身体に合ったサイズの服はどうしても少なくなってしまいます。しかし、低身長さんでもおしゃれしたい。もしくは「普通」に見られたい。そんな人にオススメなのが小物活用。詳しくはこの記事で解説しているので、ぜひご一読ください。
記事でも解説していますが、小物を使うときはできるだけたくさんのアイテムを使うことを推奨しています。そこで今回は、複数の小物アイテムをどう組み合わせたらいいかという具体的な活用術をお伝えしていきます。外出するときはみなさんカバンを持っていくし、靴も履きますよね。場合によっては腕時計も付けますよね。必然的に複数アイテムを使うわけです。でも、どれを組み合わせたら合うの?そんなときに使える考え方です。
ちなみに、これからお話ししていく組み合わせ方の理論は小物に限った話ではなく、洋服の組み合わせ方にも通じる考え方ですのでぜひご覧ください。
結論から言うと、『形』『質感』『色』という3つの要素のうち、2つ以上を統一させたもの同士で組み合わせると、まとまりのあるコーディネートになります。逆に要素を2つ以上外すと、コーディネートとしてまとまりにくくなってしまいます。
(個人的には、小物では3つ要素を揃え、洋服では2つ揃えることをオススメしています。)
言葉で説明してもわかりづらいと思うので、具体例を出すために、ブレスレットを中心に小物同士の組み合わせ方というものを考えてみました。組み合わせに迷っている方は、まずファッションを3つの要素に分解するという方法を頭に入れていただけたらと思います。
3要素の分析方法
形・質感はこのような軸で分析していきます。
色に関しては、色調(トーン)が隣り合っている。または色相環で近い色同士なのかで見ていきます。
隣り合った近しい色調・トーンだと、青・赤・黄・緑などどんな色(色相)の組み合わせでも、たいてい調和を取ることができます。
また、赤同士青同士など同系色であれば、どんな色調・トーンを組み合わせてもバランスが取れます。たとえば、ピンクと赤など。絵の具で白・黒を混ぜた色を想像してください。
複数点アクセサリーの組み合わせ実例 7つ
アクセサリーを、白いカットソーとデニムというシンプルな服装に合わせていきます。元となるのがこちら。
それでは小物を複数点組み合わせていきます。
組み合わせ①
ブレスレットを2つ重ね付けしてみました。
このイヤリングとも合いそう。なぜデザインの相性がいいのか。それは「形」と「質感」と「色」に共通性があるから。3つの要素を見てみましょう。
- 形 大ぶりな曲線で共通
- 質感 みずみずしさを感じるような自然な艶感で共通
- 色 ペール~ライトグレイッシュ~ソフトトーン (隣接した色調なので、統一感が出る)
イヤリングはビーズ自体が小ぶりだけれども、集合体となって少し大きめなモチーフになっています。3つの要素が統一されていますね。統一感のあるものが「合う」という感覚を生むのです。
低身長さんこそ、アクセサリーの重ね付けがオススメ
服ほどではないにしろ、小物でさえ「ちょっとサイズが大きい…」ってことはありませんか?私はあります。
サイズの大きいブレスレット。アンクレットとして足首に付けるには小さいし、どう使えばいいんだろう…。そんなときは重ね付けがオススメ。
腕時計と重ね付けしてもいいかもしれません。ストッパーとなってズレ落ちません。
組み合わせ②
次はピンクの中国結ブレスレット。いくつか合わせてみたので、どういった組み合わせだとバランスが取れるのか見てみてください。ひとつ目はオレンジのビーズネックレス。
全然合わないってことはないけど、なんかちょっと違う感じがするような…。3つの要素を見てみましょう。
- 形 小さい曲線、小さい直線
- 質感 白いビーズが細かく連なって凸凹&マットなゴールドビーズ、つるつるとした石&つなぎ部分の半透明の石
- 色 ソフト~ブライトトーン (隣接した色調なので、統一感が出る)
まず、形が異なりますね。ネックレスは丸く円を描くようなシルエットでゴールドのビーズも丸く、曲線的な要素を多く持っています。一方、ブレスレットの方はつなぎ部分の瑪瑙や留め具部分などこまごまとした部分は丸いものの、メインとなるマグネサイトは筒状で直線的なモチーフです。横に3本連なっていることで、さらに線として強調されています。
そして、質感も異なりますね。ネックレスもブレスレットも白いビーズや石の部分が大きな面積を占めていますが、ネックレスは小さいビーズが集まっていて、全体的に見ると凹凸を感じる一方、ブレスレットは表面がつるつるの石が使われています。ブレスレットの方も石が横に連なっているとはいえ3本だけだし、その凸凹よりも石自体のつるつるとした質感の方が印象として大きいです。
また、つなぎ部分も、ネックレスはマットゴールドでブレスレットは半透明の石と、こちらも質感が異なります。
色に関してはどうでしょう。色は白を基調としていて、少し鮮やかな色が間に入っているという意味で統一感があります。色だけピックアップしてみましたが、同じような色調なのでまとまりがあります。
でも、3つの要素のうち2つが異なるものなので違和感が生まれます。加えて、テイストも少し異なりますよね。どちらもエスニックではあるけれど、地域が違います。ネックレスはアフリカ系、ブレスレットは中国で世界観が違う。
以上の点を踏まえて、合わせてみたのがこちらのアイテム。
組み合わせ③
- 形 小さい曲線、小さい直線
- 質感 薄くつるつるとした石で共通
- 色 ソフト・ブライト~ストロングトーン (隣接した色調なので、統一感が出る)
中国の陶磁器のような模様が描かれたデザインのネックレスと合わせてみました。ネックレスは丸いモチーフが連なった形で曲線要素強め、ブレスレットは直線要素強めと形が異なりますが、それ以外は統一されているのでないでしょうか。質感も薄くて、つるつるなもの同士。テイストも同じ中国同士。
色に関しても、鮮やかな色だけど少しくすんで見えるという点で共通しています。ブレスレットのピンクはソフトトーンとブライトトーンの中間で、ネックレスの青はストロングトーン。
ネックレスの青。色だけ見るとはっきりとしたストロングトーンですが、白いベースの上に細かい模様として使われています。そのため、遠くから見ると白と青が混ざって見えるので、そこまではっきりとした色に見えません。よって、ソフトトーン寄りに見えます。どちらにせよ隣接した色調なので、そこまでイメージのバラつきを感じません。
形・質感・色の3要素の2つ以上が統一されていれば「バラバラ感」は出ないので、形だけ異なるもののこれはこれでアリではないかと思っています。他人に迷惑をかけるわけではないのだから、自分にとって都合のいい解釈も時には必要です。
加えてこちらも。
組み合わせ④
- 形 小さい直線で共通
- 質感 つるつるとした石がネックレスモチーフと共通
- 色 赤系統の色で共通
こちらも陶器のような絵柄モチーフのネックレス。モチーフが四角で直線を感じるデザインです。質感がネックレスのチェーン部分が金属と石で少し異なりますが、ネックレスのモチーフ部分とブレスレットの石部分の質感は似ています。
テイストも中国同士で、色合いも赤系統の同系色で統一されています。
次のブレスレットも中国結のアクセサリーです。手持ちのネックレスが中国風なものが多かったので、ブレスレットも合わせるように中国風のものを複数点購入したのです。
組み合わせ⑤
- 形 曲線と直線のMIX
- 質感 硬いマットで共通
- 色 ダークトーンで共通
ブレスレットの暗くて少しくすんだ色合いと、マットで硬そうな質感(レザーの紐)で統一させました。
ブレスレットの形ですが、直線と曲線がMIXしたデザインです。モチーフとなる瑪瑙は六角形で、直線的とも曲線的とも言えない形。瑪瑙の模様も、色のコントラストが大きくて白い模様が線として認識されるものの、形自体が少し丸みを帯びていたり。バンド部分は紐が斜めに重なってできていて直線要素を感じますが、その間が丸いビーズで飾られていて中和されています。
そのため、ネックレスも曲線的あるいは直線的すぎないものを選びました。やはり要素がMIXされていると選びやすいですね。次はネックレスを替えたバージョン。
組み合わせ⑥
- 形 曲線と直線のMIX
- 質感 硬いマットで共通
- 色 ダークトーンと少しストロングトーン
青い球体がメインとなるモチーフなので、ネックレス自体が少し曲線的な要素を持ちますが、ブレスレットがMIX要素を持つので許容範囲が広い。また、先ほどと同じくレザーの紐を使うことで、硬くてマットという点で質感が統一されているので、まとまりやすくなっています。
ネックレスのモチーフは鮮やかなストロングトーンですが面積が小さく、レザーの紐部分がブレスレットのダークトーンと共通しているので統一感があります。どちらにせよストロングト-ンとダークトーンなので、色調もあまり遠くない。
最後は藤のアクセサリー。いろいろ説明を聞いたけど、実践するのはまだ難しいという方にオススメの方法。
組み合わせ⑦ 考えるのが面倒な人にオススメな組み合わせ方法
私はあれこれ理屈で考えるのが好きなタイプなのでいろいろ語ってきたのですが、考えるのが面倒くさい!という方にオススメな組み合わせ方法があります。それは、同じブランドやメーカーの小物で組み合わせるということ。こちらのネックレスは、ブレスレットのおまけとしていただいたもので、手持ちのシルバーチェーンに通して使っています。
アクセサリーを作る側として、作り出したい世界観があり、作品はその世界観で統一されているし、同じ素材をあらゆるアイテムの材料として作った方が効率が良いですよね。
このように、3要素がある程度統一される傾向にあり、その結果として同じブランド同士で組み合わせるとまとまりが出やすくなります。
組み合わせを考えるとき、スタイリストに頼るのもひとつの方法
組み合わせを考えるときに、パーソナルスタイリストの力を頼るのもひとつの方法です。「わざわざお金を出してまでなぜ…」と思う方もいらっしゃるでしょうが、このようなメリットがあります。
- 幅広いブランドやアイテムの中から、買い足し提案ができる
- 手持ちアイテムの分析をした上で、買い足しアイテムを効率的にピックアップ
- 「好み」の分析ができる
先ほど「同じブランドで組み合わせる」ことをオススメしましたが、この方法だと出せる雰囲気に制限が生まれます。たとえ好きなブランドがあったとしても、自分の知っているブランドの中からしか選べないかもしれません。しかし、パーソナルスタイリストは、幅広いブランドからお客様に合うようなものを探し出すことが仕事なので、守備範囲が広く、お客様ひとりでは思いつかないような提案ができます。
しかも、そもそも自分のファッションを客観視するのは難しいことです。好きなものや方針が明白にある人はファッションの組み合わせ方法を知れば、それを活用していくことができます。しかし、好きなものがわからない人、やりたいことが曖昧になっている人にとっては、いくら組み合わせ方法を理解したところで活用することができません。
就職活動もそうではありませんか?自己分析をしろ軸を決めろと言われるけれど、自分がどういった人間なのか、何をやりたいのかを説明するのは難しいし、そこでいくら面接スキルを頭に入れたところで役に立たないかもしれない。それは主観が入るから。両親や友だち、キャリアアドバイザーなどと話をしたりすることで、自分の価値観や考え方がブラッシュアップされていくのです。ファッションも同じです。
「好きな服ってどんなの?」「今私が持ってる服って、言葉にするとどういうテイストなの?」という方には分析して言語化し、「服を通してどう過ごしていきたいの?」という疑問点に関しては対話をしてブラッシュアップを。
逆に「日によって全然違ったイメージの服が着たいんだけど、どうすればいい?」という方にも対応できます。
まとめ
組み合わせを考えるときは「形」「質感」「色」の3要素で分解し、2つ以上を揃えることをオススメしてきました。今回はブレスレットを中心に、小物同士の組み合わせ例を7つ考えていきました。組み合わせに違和感を感じたら、3つの要素に分解して考えてみてください。
今回の記事では3つの要素を「揃える」ことを推奨してきましたが、別の記事では、逆に要素を「ハズす」ことの重要性についてもお話していく予定です。冒頭でも少しお伝えしましたが、小物では要素を3つ揃え、洋服では2つ揃えることをオススメしています。「洋服ではなぜ1つハズすの?」その理由について解説していく予定なので、ぜひご一読ください。